文行堂のあゆみ
文行堂は、明治10年、初代横尾卯之助によって、
神田区末廣町10番地にて創業いたしました。
屋号は「文行忠信」『論語』ということばによります。
明治15年に下谷区東黒門町4番地へ移転、現在まで130年以上、
変わらず営業をしております。
卯之助は、和本を中心に扱う一方、出版も手がけました。
かたわら「千野金太丸」の名で狂歌を善くし、
多くの文人たちと交友を重ねました。
二代勇之助は、和本から書画、自筆物へと関心を広げていきました。
この頃、三村竹清翁(1876~1953)との濃やかな縁が結ばれます。
竹清翁は、竹問屋を営みながら、和漢の文化に深く通じ、
詩書画・篆刻の世界に遊んだ稀有な文人でした。
店内に掲げられております「文行堂」の扁額は、
戦後の再出発にのぞんで、竹清翁から贈られたものです。
三代文二郎は、短冊をことに好んで、今日にいたる礎を築きました。
四代目初男から五代目へと、創業の精神と先人の仕事を受け継ぎ、
豊かな文化世界を長く後世に伝えるべく、
俳書、書簡類をはじめとする自筆物、書蹟・絵画など
より一層力を入れ蒐集に努めております。